国鉄時代には、いわゆる長距離列車が全国各地にあり、今では考えられないような区間を走っていました。国鉄からJRになって徐々に淘汰されていましたが、最後まで残った昼間の長距離特急が「白鳥号」でした。
白鳥号は青森と大阪を日本海側を経由して結んでおり、それぞれ早朝に出発し、夕方に目的地に到着するというのんびりした特急列車でした。乗りとおしていた乗客がどの程度いたかは定かではありませんが、私も一度だけ乗ったことがあります。
1996年12月に新潟県を旅した時、県北の村上市から長岡市への移動で、唯一乗り換えをせずに済むことから白鳥号を利用しました。特急とはいえシートなどかなり年季が入っており、「そろそろ引退間近だろうなあ」との印象でした。
それでも、私の近くにいた親子連れの30代くらいの母親が東北弁で快活におしゃべりしている姿を見て、東北からやって来た列車らしいと感じながら、思わず私も微笑みを浮かべたことが印象に残っています。