紀行作家の宮脇俊三さんの著書「時刻表2万キロ」を読んでいると、綿密に立てた計画が予想外のハプニングで狂ったとのエピソードが随所に登場します。著書の最初に登場するエピソードとして富山県内の鉄道が紹介されています。
富山港線の予定の列車に乗り遅れ、タクシーで終点の岩瀬浜駅に先回りするつもりでしたが、タッチの差で間に合わず、手前の東岩瀬駅で岩瀬浜からやってくる列車をじくじたる思いで待ったとの描写がユーモラスで印象に残っていました。
2018年11月、富山ライトレールに生まれ変わった旧富山港線に乗り、岩瀬浜駅から歩いて東岩瀬駅まで戻ってみました。東岩瀬駅は駅舎が高齢者のコミュニティースペースになっており、JR時代のホームが一部残っていました。
そのホームから岩瀬浜方面を眺めていると、ライトレールの車両が徐々に近づいてきました。宮脇さんが眺めた光景とはかなり様変わりしていると思いますが、数十年の時を隔てて宮脇俊三という作家への思いを巡らせた瞬間でした。