森進一の代表曲の一つに「襟裳岬」という歌があります。とりわけ、歌詞の最後に出てくる「襟裳の春は何もない春です」という言葉が印象深く、いったいどういう土地なのだろうかと襟裳岬への旅情を駆り立ててくれます。
襟裳岬は北海道十勝地方の最南端にあり、この地にたどり着くだけでも容易ではありません。ルートは二つあり、苫小牧から日高本線(現在一部不通)で様似まで行き、さらにバスを使う方法と帯広からバスを広尾で乗り継いで向かう方法があります。
2010年6月に訪れた際は日高本線経由で向かい、途中の静内で観光した時間を除いても、苫小牧から4時間もかかりました。様似駅からえりも町を経て、襟裳岬に近づくにつれて人家も少なくなり、荒れた丘陵地が続く道のりだったのです。
岬の突端から先に広がるのは大海原ばかりで、最果て感ただよう光景に思わず襟裳岬のフレーズ「何もない春です~」と口ずさんでしまうほど(笑)。夕方という時間帯もあり、歩いているのは私一人。出迎えてくれたのは2匹のキタキツネだけでした。
そんな襟裳岬にある旅館に泊まったお話を次回したいと思います。