旅人マイケルオズのニッポンひとり旅語り

全都道府県を巡り歩いた旅人が、ひとり旅で訪れた旅先の素晴らしさ、楽しいエピソードなどを紹介し、併せて旅の情報やノウハウも語っています

最後の客車普通列車に乗車 2000年11月

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門司港駅に停車中の日本最後の客車普通列車(2000年)

 マニアや鉄っちゃんと言うほどではありませんが、少年時代から時刻表や地図を見るのが好きでした。東京育ちの私は両親が長野県に帰省する際、中央本線を走るさまざまな列車を見るのが楽しみで、とくに東京都内では見る機会がない機関車がけん引する客車普通列車には「乗ってみたい」という憧れを持っていました。

 大人になって自分でどこにでも出かけられるようになったとき、客車普通列車はほとんど姿を消していました。JR九州管内の久大本線で客車普通列車を見かけた時、喜び勇んで写真には収めたのですが、乗る機会には恵まれませんでした。その後さらに淘汰が進み、2000年秋には筑豊本線の1往復だけになってしまいました。

 11月に下関・門司・小倉を旅した際、当初の予定を変えて門司港駅を夕方出発する客車普通列車に乗ることを企画しました。機関車を先頭に客車が連なる車両を見るのは久しぶりのことで、さすがにドアは昔のような手開き式ではなく自動でした。「おそらく、これが最後の客車列車乗車になるだろう」と思って乗り込みました。

 ロングシートボックスシートの混在車両で、車内にいる限りは客車だという感覚はありません。ただ、発車した瞬間のガクンという独特の揺れに客車らしさを感じながら、小倉駅までの23分間のささやかな列車旅を楽しみました。間もなく、定期運行する客車普通列車は懐かしい思い出だけを残しながら時刻表から姿を消しました。