旅人マイケルオズのニッポンひとり旅語り

全都道府県を巡り歩いた旅人が、ひとり旅で訪れた旅先の素晴らしさ、楽しいエピソードなどを紹介し、併せて旅の情報やノウハウも語っています

人々の暮らしに溶け込んだ尾道の渡し船 2003年5月

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渡し船尾道のごく日常の光景(2003年)

 私のひとり旅では多くの場合、観光地や史跡巡りが中心に据えられることが多いのですが、まち(街)そのものの雰囲気だけを楽しむという旅というのもなかなか楽しいものです。そんなまちの一つが広島県尾道市。瀬戸内に面した風光明媚なまちですが、尾道の魅力はもちろんそれだけではありません。

 尾道を目的地とした理由は、同市出身の大林宣彦監督が手がけた「尾道三部作」と呼ばれる映画の存在があったからです。とくに尾美としのり富田靖子主演の「さびしんぼう」は、尾道の豊かな自然と坂道と小路が続く街並みが作中で効果的に描かれており、私の旅情を駆り立ててくれました。

 映画で出てくる渡し船のシーンが特に印象的でしたが、実際に訪ねてみると、尾道市街地と向島を結ぶ渡し船は人々の暮らしになくてはならない交通手段で、頻繁に運行されていました。桟橋で船が行き交う光景を眺めていると、映画のノスタルジーとも相まって時が過ぎゆくのを忘れてしまいそうでした。

 小道が入り組んでいるのも尾道の特徴です。大林監督は観光ガイドブックに「あなたは、尾道の中で迷子となり、そしてそこから、あなた自身の好奇心の趣くままに、あなた自身の道を見つけて欲しい」と記しています。全国の都市でも、私の5本の指に入る好きなまち・尾道に、もう一度迷子になりに行きたいものですね(笑)。