私がひとり旅を始めた1990年代は、全盛期こそ過ぎていたが寝台特急が全国の幹線で運行されていました。限られた日程で旅程を組んでいる身にとっては、仕事が終わってから自宅を出発し、東京、上野、大宮、名古屋、京都などから夜遅くに乗車できる寝台特急は非常に重宝した交通手段でした。
初めて乗車したのは、1992年秋に山口、広島県を訪れた際に乗車した「はやぶさ号」でした。名古屋を午後10時半過ぎに出発し、下車駅の小郡(新山口)に午前6時に到着し、山口線で津和野到着が午前8時頃という絶好の旅程を組み、勇んで名古屋駅ホームでブルートレインの到着を待ったものでした。
B個室寝台の下段を確保し、予想以上に個室内が広かったこと、備え付けの浴衣があったことなどに加え、この列車に乗っていれば寝ているうちに目的地最寄り駅に着くのだという不思議な感覚に包まれました。ただ、さすがに初乗車ではなかなか眠れるものではなく、ずっとウトウトとしっ放しだったような気がしました。
ちなみに、当時の「はやぶさ号」は東京発西鹿児島行で、ほぼ1日(24時間)かけて運行されており、西鹿児島到着はなんと午後3時過ぎ!。飛行機であっという間に目的地に着ける時代に、よくぞ運行していたものだと感心しました。と同時に、いつかこの列車に乗って鹿児島入りしたいなあとも思ったものでした。