旅先というのは、どこへ行っても見知らぬ土地にワクワクし、あるいは感動し、気分が高揚するものです。ただ、体調不良になってしまったり、思わぬアクシデントに見舞われた時以外で、唯一つらい気持ちに襲われた旅がありました。それが2014年、宮城県仙台市若林区と隣接する名取市閖上を訪れた旅でした。
言うまでもありませんが、2011年3月11日発生の東日本大震災で大津波により壊滅的な被害を受けた地域です。若林区も閖上も太平洋に面した平野部にあり、周囲には高台らしいものは何一つありません。地震直後に大津波が押し寄せる上空からの映像が放送されたことで強く印象に残っていました。
それから3年、テレビで見た被災地がどうなっているのか気になり、旅というよりも「視察」という言葉をあえて使って訪れてみました。瓦礫と化してしまった建物はすでに撤去され、後に残されたのは広大な荒れ地のみ。鳥のさえずりしか聞こえない周囲の静けさは、まるで北海道の原野に居るかのような錯覚に陥りました。
ですが、荒れ地をよく見ると、住宅が存在した土台があちこちに残されていました。震災前はまぎれもない住宅地であり、人々が集う町だったのです。「町が消えてしまったのか・・・」と、強烈な虚しさに襲われてしまいました。さらに5年が過ぎ去ろうとしていますが、今、若林区や閖上はどうなっているのでしょうか?
★被災地をめぐる「語り部タクシー」というのがあります。2014年来訪時には私も利用しました。ホームページで語り部タクシー乗車記を載せていますので、興味のある方はご覧下さい。